全部鋳造冠
(ぜんぶちゅうぞうかん)
全部鋳造冠とは、歯科用金属を鋳造して作られるクラウンの一種である。フルキャストクラウン、FCK、FMCとも呼ばれる。保険治療の臼歯の場合に用いられる金銀パラジウム合金で作られたものは、いわゆる銀歯と呼ばれる。保険診療では、小臼歯、大臼歯のクラウンは全部鋳造冠で行われることがほとんどである。自費診療の場合は、金合金や白金加金が用いられ、金歯とよばれる。また、チタンが用いられる場合もある。
齲蝕などで、歯質の欠損が大きい場合や、根管治療が終了した歯のうち、臼歯に用いられることが多い。審美性が低いため、前歯部や下顎臼歯部では目立つことが多いが、金合金や白金加金の適合精度の高さや、保険診療の制約から、現在でも高頻度に使用されている。自費診療で審美性が求められる症例の場合は、陶材焼付鋳造冠などが全部鋳造冠に代わり用いられる。